毎日当たり前のように行っているシャンプー。しかし、そのやり方が間違っていれば、頭皮を傷つけ、乾燥や炎症を引き起こし、抜け毛を助長する最大の原因になり得ます。逆に言えば、正しいシャンプー方法をマスターすることは、コストをかけずに今日から始められる、最も効果的な抜け毛予防策なのです。多くの人が驚くほど見落としているのが「予洗い」の重要性です。シャンプー剤を手に取る前に、38度程度のぬるま湯で、髪と頭皮を1分から2分かけてじっくりと洗い流しましょう。これだけで、汗やホコリ、余分な皮脂といった汚れの約7割が落ちると言われています。予洗いをしっかり行うことで、シャンプーの使用量を最小限に抑えられ、頭皮への化学的な刺激を減らすことができますし、泡立ちが格段に良くなります。次に、シャンプー剤の付け方と洗い方です。シャンプーの原液を直接頭皮にべったりと付けるのは絶対にやめましょう。必ず手のひらで十分に泡立ててから、その豊かな泡で髪と頭皮を包み込むように洗います。そして、洗う際は爪を立ててゴシゴシと擦るのは厳禁です。頭皮は顔の皮膚よりもデリケート。爪で傷をつけると、そこから雑菌が侵入し、炎症やフケ、かゆみの原因となります。使うのは、指の腹。頭皮を優しくマッサージするように、揉み込むように洗いましょう。血行が促進され、リラックス効果も得られます。そして、一連の工程の中で最も時間をかけるべきなのが「すすぎ」です。シャンプーやトリートメントの成分が頭皮に残ってしまうと、毛穴を塞ぎ、深刻な頭皮トラブルを引き起こします。これが抜け毛の大きな原因となるのです。洗うのにかけた時間の2倍以上の時間をかけるくらいの意識で、髪の生え際や耳の後ろ、襟足といった、すすぎ残しがちな部分まで、ぬめり感が完全になくなるまで徹底的に洗い流してください。最後に、濡れた髪を放置しないこと。濡れた頭皮は雑菌が繁殖しやすい温床です。タオルで優しく水分を押さえるように拭き取った後、必ずドライヤーを使って、髪の根元、つまり頭皮から乾かすようにしましょう。これらの正しい手順を毎日の習慣にすること。それこそが、健やかな頭皮環境を守り、抜け毛を予防するための、揺るぎない土台となるのです。