抜け毛が気になり始めると、多くの人はすぐに「何をすれば良いか」という対策(How)に飛びつきがちです。しかし、効果的な予防策を講じるためには、その前に「自分の髪と頭皮は今、どのような状態なのか」という現状(What)を客観的に把握することが不可欠です。やみくもに対策を打つのではなく、まずは自分の体のサインを正しく読み解くこと。それこそが、抜け毛予防の成功への最短ルートなのです。まず、最も基本的な現状把握は「抜け毛の本数」をチェックすることです。健康な人でも、ヘアサイクルの関係で一日に50本から100本程度の髪は自然に抜け落ちています。この事実を知るだけでも、過度な不安は軽減されるはずです。自分の抜け毛が正常範囲内かどうかを知るために、数日間、特に抜け毛が多いシャンプー時の本数を記録してみましょう。排水溝を綺麗にしてからシャンプーをし、抜けた髪を全て集めて数えるのです。この平均値が、あなたの基準となります。この基準から大きく外れて急増していないかを確認することが大切です。次に、本数以上に重要なのが「抜け毛の質」のチェックです。抜けた髪を数本手に取り、その根元、毛根部分をじっくりと観察してみてください。健康なヘアサイクルを終えて自然に抜けた髪は、毛根が白っぽく、マッチ棒の頭のようにふっくらと丸みを帯びています。もし、あなたの抜け毛の多くがこの状態であれば、ひとまずは安心です。しかし、注意すべきは、毛根がなかったり、細く尖っていたり、黒く萎縮していたりする抜け毛です。これらは、髪が十分に成長する前に、何らかの原因で強制的に抜けてしまった「異常な抜け毛」である可能性が高いです。このような質の悪い抜け毛の割合が多い場合は、頭皮環境が悪化しているサインかもしれません。さらに、鏡を使って「頭皮の色」をチェックする習慣もつけましょう。健康な頭皮は、血行が良い証拠である、少し青みがかった白色をしています。もし頭皮が赤みを帯びているなら炎症を、黄色っぽくくすんでいるなら皮脂の酸化や血行不良を、茶色っぽいならターンオーバーの乱れを疑うことができます。このように、抜け毛の本数、質、そして頭皮の色という三つの指標を定期的にチェックすることで、自分の状態を客観的に知ることができます。
抜け毛予防の第一歩は現状把握から