多くの患者さんを診察していると薄毛の原因を遺伝のせいだけにして諦めている方が非常に多いのですが実は日常生活の中にこそ改善すべき大きな原因が隠されていることが多々あります。例えばコンビニ弁当やファストフードばかりの食生活では髪の主成分であるケラチンを合成するための亜鉛やビタミンが不足しがちになりその結果として髪が育たず抜け毛が増えてしまうのです。また喫煙習慣も血管を収縮させ頭皮への血流を悪化させるため薄毛の直接的な原因となりますし過度な飲酒も髪の成長に必要な栄養素をアルコールの分解で消費してしまうため良くありません。大切なのは特別な治療を始める前にまず自分自身の生活習慣を客観的に見直し髪が育ちやすい土壌を体の中から整えてあげることでありそれが薄毛の原因を根本から断つ近道になるのです。都内のIT企業に勤める田村さんは入社以来トップの成績を維持し続けてきましたが昇進して部下を持つようになった頃から急激な抜け毛に悩まされるようになりました。最初は季節の変わり目のせいだろうと軽く考えていましたが洗髪のたびに排水溝が真っ黒になるほどの抜け毛を見て恐怖を感じ病院に駆け込んだところ診断結果は円形脱毛症に近いストレス性の薄毛であることが判明しました。医師の説明によると強いストレスを受けると自律神経のバランスが崩れ交感神経が優位になりすぎることで血管が収縮し毛根に栄養が届かなくなることが原因だということで田村さんは仕事の進め方を見直し週末は完全にデジタルデトックスをしてリラックスする時間を設けるようにしました。その結果ストレスが軽減されるにつれて徐々に抜け毛が減り半年後には元のフサフサな状態に戻ることができたという事例からもメンタルケアが髪の健康にいかに重要かが分かります。生物学的な視点から薄毛の原因を探ると毛根の奥にある毛母細胞の分裂活動が低下することにその本質がありますがこの活動を阻害する大きな要因の一つが5アルファリダクターゼという酵素の存在です。この酵素は頭皮の前頭部や頭頂部に多く存在しており男性ホルモンと結びつくことで強力な脱毛指令を出す因子を生み出し成長期にある髪の毛を強制的に休止期へと移行させてしまいます。このメカニズムは遺伝的な要素が強く影響しますが最近の研究では遺伝だけでなく頭皮の常在菌バランスの乱れや酸化ストレスも毛母細胞の働きを弱める原因になることが分かってきています。したがって科学的なアプローチで薄毛を改善するにはこの酵素の働きを抑制する成分を取り入れると同時に頭皮環境を清潔に保ち酸化を防ぐ抗酸化ケアを行うことが極めて合理的かつ効果的な手段となるのです。
皮膚科医が教える薄毛の原因と生活習慣の関係