額のM字部分の後退に気づくと、多くの人は焦りから「何とかしなければ」と、自己流のケアに走りがちです。しかし、その良かれと思って行っている習慣が、実は頭皮環境を悪化させ、M字はげの進行を加速させているとしたら、それは本末転倒です。ここでは、抜け毛を気にする人が陥りやすい、絶対に避けるべきNG習慣をいくつかご紹介します。まず、最も多くの人がやりがちなのが「洗浄力の強すぎるシャンプーでゴシゴシ洗う」ことです。頭皮の皮脂や汚れを落とすことは大切ですが、必要以上に皮脂を奪い去ってしまうと、頭皮は乾燥から身を守ろうとして、かえって皮脂を過剰に分泌するようになります。また、爪を立てて力任せに洗う行為は、デリケートな頭皮を傷つけ、炎症を引き起こす原因となります。傷ついた頭皮は、健康な髪を育むための土壌としては最悪の状態です。シャンプーはアミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のものを選び、指の腹で優しくマッサージするように洗うのが鉄則です。次に、「過度な自己流マッサージ」も危険を伴います。血行促進が大切だと聞くと、力を入れてグリグリと頭皮を揉みたくなるかもしれませんが、これは間違いです。強すぎる圧力は、毛根の毛細血管を逆に傷つけたり、まだ成長途中にある細い髪を無理やり引き抜いてしまったりするリスクがあります。マッサージは、あくまで「痛気持ちいい」と感じる程度の力で、頭皮を動かすように優しく行うべきです。また、「M字はげを隠すための長時間の帽子の着用」も注意が必要です。帽子は紫外線から頭皮を守るという点では有効ですが、長時間かぶり続けると、頭皮が蒸れて雑菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。汗や皮脂が酸化し、毛穴を詰まらせる原因にもなりかねません。適度に帽子を脱いで通気を良くすることが大切です。そして、言うまでもありませんが、「不規則な生活習慣」はM字はげの進行を加速させる最大の要因です。偏った食事による栄養不足、睡眠不足による成長ホルモンの分泌低下、喫煙による血行不良は、AGAの進行にこれ以上ないほどの追い打ちをかけます。焦って高価な育毛剤に手を出す前に、まずはこれらの悪習慣を一つでも多く断ち切ること。それが、M字はげ対策の最も基本的で、最も重要な一歩となるのです。