M字はげの根本的な原因は、遺伝と男性ホルモンの影響によるAGA(男性型脱毛症)ですが、日々の何気ない生活習慣が、その進行速度を大きく左右するアクセルにもブレーキにもなり得ることをご存知でしょうか。専門的な治療と並行して、生活習慣を見直すことは、AGAの進行に歯止めをかけ、治療効果を最大限に高めるために不可欠です。まず、見直すべきは「食生活」です。髪の毛は、私たちが食べたものから作られます。その主成分であるケラチンというタンパク質が不足すれば、当然ながら健康な髪は育ちません。肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く食事に取り入れ、髪の材料をしっかりと補給しましょう。また、タンパク質を髪に変える過程で不可欠なミネラル「亜鉛」(牡蠣やレバーに豊富)や、頭皮の血行を促進する「ビタミンE」(ナッツ類やアボカド)、頭皮環境を整える「ビタミンB群」(豚肉や玄米)も意識して摂取することが重要です。逆に、脂質の多い揚げ物やジャンクフード、糖分の多いお菓子は、皮脂の過剰分泌を招き、頭皮環境を悪化させるため控えめにしましょう。次に、髪の成長に欠かせない「睡眠」です。髪の成長を促し、日中のダメージを修復する成長ホルモンは、深い眠りについている間に最も多く分泌されます。慢性的な睡眠不足は、この貴重な育毛タイムを自ら放棄しているようなものです。最低でも6時間、できれば7時間以上の質の高い睡眠を確保することを目標にしましょう。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、脳を覚醒させて眠りの質を低下させるため、控えるのが賢明です。そして、現代人にとって避けては通れない「ストレス」との付き合い方も重要です。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。ウォーキングなどの適度な運動や、趣味に没頭する時間、ゆっくりと湯船に浸かるリラックスタイムなどを設け、意識的にストレスを発散させることが大切です。最後に、百害あって一利なしの「喫煙」です。タバコに含まれるニコチンは、血管を強力に収縮させる作用があり、頭皮への血流を著しく悪化させます。まさに、髪の毛の成長を妨げるためにタバコを吸っているようなものです。これらの生活習慣の改善は、地道で即効性はありませんが、AGA治療の土台を固める上で絶対に欠かせない要素なのです。