「頭の形が良い人はハゲない」「絶壁の人はハゲにくい」など、頭蓋骨の形状と薄毛リスクに関する噂も後を絶ちませんが、これについても解剖学的な視点から考察すると、あながち無関係とは言えない興味深い相関性が見えてきます。頭皮は頭蓋骨の上を覆っている皮膚ですが、頭蓋骨の形状によって頭皮の張り具合(テンション)に差が生じることがわかっており、特に頭頂部が尖っている「とんがり頭」の人や、ハチが張っている四角い頭の人は、頭皮が骨の角に押し付けられて突っ張りやすく、物理的に皮膚が薄くなり血流が悪化しやすい傾向があります。頭頂部には筋肉がなく、前頭筋・側頭筋・後頭筋によって帽状腱膜が引っ張られている構造になっているため、頭蓋骨のカーブが急であるほど、テントをピンと張った時のように頂点部分に強いテンションがかかり、毛細血管が圧迫されて血流不足に陥りやすいのです。これが、頭頂部から薄くなる「O字ハゲ」の一因になっているという説(頭皮緊張説)は古くから存在し、現在でも一定の支持を得ています。逆に、頭の形が丸くてなだらかな人は、頭皮にかかる圧力が分散されやすく、血流が保たれやすい可能性があります。しかし、頭の形は生まれつきのものであり変えることはできませんが、このリスクを知っていれば対策は可能です。頭皮が突っ張りやすい骨格の人は、意識的に頭皮マッサージを行って物理的に皮膚を緩めたり、首や肩のコリをほぐして血流を良くしたりすることで、骨格によるハンディキャップを補うことができます。また、最近の研究では、頭蓋骨は大人になってもわずかに成長・変形するという説もあり、加齢によって頭蓋骨が肥大化し頭皮を引き伸ばすことが薄毛の原因の一つではないかとも言われています。自分の頭の形を触って確認し、「ここは突っ張りやすいポイントだな」と把握した上で重点的にケアを行うことは、オーダーメイドの薄毛対策として非常に有効です。頭の形を嘆くのではなく、その形に合わせたケアを見つけることが、賢い頭皮マネジメントと言えるでしょう。