男性型脱毛症(AGA)の発症には遺伝が深く関与していることは周知の事実ですが具体的な数字としてどの程度の影響力があるのかというと一般的にAGAの遺伝率は約80%と言われておりこれは高血圧や糖尿病といった生活習慣病の遺伝率と比較しても非常に高い数値であることが分かります。この80%という数字は残りの20%が環境要因や生活習慣によって決まることを意味しており裏を返せばどんなに努力しても80%の確率で薄毛になる宿命からは逃れられないのかと絶望する人もいるかもしれませんがそう単純な話ではありません。この数字はあくまで統計的な傾向を示すものであり個人の運命を決定づけるものではないため例えば同じ遺伝子を持っていても発症時期が20代前半の人もいれば50代まで持ちこたえる人もいるなど個人差が非常に大きくその差を生むのが日々のケアや生活習慣の積み重ねなのです。また最近の研究では薄毛に関与する遺伝子の変異箇所(SNP)が数多く特定されておりこれらの組み合わせによってリスクの度合いが変わる多因子遺伝であることが明らかになってきており単一の遺伝子だけで決まるわけではないため「父も祖父もハゲだから自分も絶対ハゲる」という決定論は科学的に正しくありません。さらに重要なのは現在ではフィナステリドやデュタステリドといったDHTの生成を抑制する治療薬が存在しておりこれらを早期に服用することで遺伝的な脱毛シグナルをブロックし発症を遅らせたり進行を食い止めたりすることが可能になっているため遺伝率の高さに怯える必要はなくむしろ早期発見・早期治療のためのアラートとして活用すべきです。つまり80%という数字は変えられない過去ではなくこれからどう対処するかという未来への指針でありリスクを知った上で適切な対策を講じれば遺伝の壁を乗り越えることは決して不可能ではないのです。また子供が将来薄毛を気にするようになったとしても「今は良い薬があるから大丈夫だよ」と正しい知識を伝えて安心させてあげることができるのは経験者である親だからこそできることであり一緒にクリニックに行ったり悩みを共有したりすることで親子の絆が深まるきっかけにもなります。